義援金へのご意見について

店長の藤田です。

日本赤十字社への寄付について、ネット上ではこういうご意見をよく見かけます。

「寄付するなら黙ってやれよ。アピールするな」

私は、この意見には賛成できません。
(すでに公表し、納付もしております)

義援金は、支援として本当によくできた仕組みです。それは間違いありません。ただ、集まったお金が被災者の手元に届くまでには、数か月から半年以上かかります。その間、被災された方は、ずっと不安な気持ちのまま過ごすことになります。そしてこの「不安」そのものが、新しい試練として重くのしかかってきます。

東日本大震災のとき、東北の沿岸部で被災した私の周りにも、身内にも、そういう者がおりました。

「もう終わりだ、ガソリンもない、動けない、なのに友達からすぐ逃げろって電話がくる、原発も爆発してる」

そう言ってパニックを起こし、そのまま長く後遺症に悩むことになりました。私の弟です。

引き金は、友人からの心配の連絡でした。

心配してくれた友人に、何の悪意もありません。むしろ善意です。ただ、逃げられない人間に「逃げろ」と伝えることは、相手を追い込むだけで、意味がありません。私はあの日、そのことを学びました。

もしあれが「俺が今から行くから待ってろ」だったら、どうだったでしょうか。

弟は少し落ち着けたかもしれません。あの日、暴れて、物を壊して、のたうち回る弟を力づくで押さえていた私の気持ちも、その後の弟の人生も、もう少し違っていたかもしれません。

それから十年以上、私は弟の世話をしてきました。今はもう、連絡を取っていません。あの日から続いた時間の終わりが、そういう形になったということです。

きっと、こういう思いを抱えたのは私だけではなかったはずです。そして今も、同じ可能性と向き合っている人がいるはずです。

だから私は、声には意味があると思っています。同じ「声」でも、届き方がまったく違うということも。必要なのは、追い立てる声ではなく、「これだけあなたを大事に思っている人間がいるから大丈夫だ」と伝える声です。私はそう学びました。

支援を、お金のやりとりだけのことだと思わないでいただきたいのです。

被災した瞬間から義援金が届くまでの間、一番先に届くのは人の声です。だから私は、黙ってやれという意見には従いません。寄付をしたと書くこと自体が、遠くの誰かに向けた声になると思っているからです。

同時に、お金や物資だけが支援ではないことも申し上げておきたいです。芸能人の方の一言に救われる人もいます。かたちは人それぞれで構わないのだと思います。

私たちは、私たちのできるかたちで、これからも続けていきます。

ヒーローズ東京 店長 藤田